このホームページでは高額療養費の世帯合算や多数回該当について、前半は漫画で説明しています。
詳細な説明は後半にありますので、こちらからどうぞ。
なお、高額療養費の基本的な説明はこちら
旦那コラム
高額療養費の世帯合算・多数回該当ほか
なお、この記事は2020年5月現在の情報です。
世帯合算
複数の医療機関を受診したり、家族で別々の人が医療機関を受診した時の高額療養費の計算方法について説明します。
なお家族で別々にかかった医療費を合算したい場合は、国保・後期の場合は同一世帯、社保・共済の場合は本人と被扶養者でなければなりません。
70歳未満
1つの医療機関で1カ月で支払った医療費を1つの単位として考えます。(レセプト単位と言います。)
1つの単位で21,000円以上の支払いがあった場合は、合算対象となります。なお、同一医療機関であっても、入院、外来、歯科は個々に21,000円以上である必要があります。また、入院時の食事代は合算することが出来ません。
ただし、薬局の調剤費は処方箋を発行した医療機関の医療費の支払額と足して21,000円以上あれば、合算対象となります。
21,000円以上の医療機関の支払い額を全て足して、70歳未満の高額療養費の限度額(別タブで開きます)を超えていれば、支給対象となります。
21,000円に達しなければ合算対象とならないことについては、以前は基準が30,000円でしたが、その後23,000円の時期を経て、現在の21,000円となりました。少し基準が下がって申請しやすくなっています。
21,000円の基準がもっと少なかったら、支給額が増えるのにと考える人もいるかもしれませんが、そうすると医療費が増えるので、保険料も高くなってしまいます。
後、これは僕の考えですが、元々高額療養費というのは被保険者の負担の軽減という観点から設けられた制度ではないと思ってます。
総医療費100万円とか1000万円といった高額な医療が必要な人が、30万とか300万円といった自己負担に躊躇して、医療を受けるのを諦めてしまうのを防ぐための制度だと思っています。保険というのは、本来そういった高額な出費によるリスクを抑えるためのものですからね。
ですから、確かに21,000円の基準がなければ負担は軽減されますが、本当に高額な医療費が必要な人は21,000円なんて簡単に超えてしまいますから、制度の趣旨に適っていると思うのです。
70歳以上
支払った医療費全ての自己負担額を合算して70歳以上の高額療養費の 限度額(別タブで開きます)を超えていれば支給の対象です。ただし、入院時の食事代は合算対象外です。
「一般」と「住民税非課税」の場合は①外来(個人)と②外来+入院(世帯)の2通りの限度額があります。①②どちらかの医療費が限度額を超えていれば、高額療養費の対象となります。
70歳以上になれば誰しも医療費が高額となりやすいことから、70歳未満ではあった21,000円の基準がありません。
70歳以上未満混合世帯
70歳以上と70未満の被保険者が混合でいる場合は
①70歳以上の外来個人、②70歳以上の外来+入院(世帯)、③全体の世帯、の順番で合算していきます。
計算問題
いくつかの例題を示しながら、高額療養費の支給がいくらになるかを例示しました。面倒だったら、読み飛ばしてくだされば結構です。
夫婦2人 限度額区分「ウ」の場合
合算した支払額は
60,000円+30,000円+21,000円
=111,000円
限度額は「ウ」の場合
80,100+(総医療費-267,000)×1%
80,100+(200,000+100,000+70,000−267,000)×0.01
=83,800円
支給額は
111,000–83,800=27,200円
夫婦2人 区分「一般」の場合
①外来を個人毎に計算。
夫:外来のⅡとⅢを合算する
10,000円+14,000円=24,000円
24,000円-18,000円(限度額)=6,000円(支給額)
限度額以下の18,000円は入院+外来に持ち越し
妻:外来のⅣ・Ⅴ・Ⅵを合算する
10,000円+3,000円+6,000円=19,000円
19,000円-18,000円(限度額)=1,000円(支給額)
限度額以下の18,000円は入院+外来に持ち越し
②入院+外来(①で支給対象とならなかったもの)を世帯単位で合算
Ⅰ(夫入院)+夫外来+妻外来なので
40,000円+18,000円+18,000円
=76,000円
76,000円-57,600円=18,400円(支給額)
よって支給額合計は6,000円+1,000円+18,400円=25,400円
自己負担は57,600円です。
上記の計算問題2でⅠ(夫の入院)での支払いが40,000円ではなくて、20,000円ならば、どうなるでしょう。
①外来の6,000円と1,000円は対象となりますが、夫婦の外来+入院は18,000円×2+20,000円=56,000円となり、57,600円に届いていないので、対象となりません。
よって外来の7,000円のみとなります。
計算が複雑になってきましたね。
計算問題1と2の夫婦が同じ世帯であった場合の計算はどうなるでしょう。
最初は70歳以上から計算するので
計算問題2で支給額25,400円と自己負担額57,600円が求められます。
その後、計算問題2の自己負担57,600円を計算問題1の支払い額に足して
80,100+(総医療費-267,000円)×1%の限度額を超えているか判断します
支払った金額は
計算問題1の〇+57,600円=168,600円
限度額は
80,100+(785,000−267,000)×1%=85,280円
差し引きは
168,600円―85,280円=83,320円
これに計算2の支給額25,400円を足して
25,400円+83,320円=108,720円
多数回該当
長期の入院になった場合は、高額療養費の限度額までの支払いまでであったとしても、何カ月も続くと、やはり支払いは大変になります。
そんな時のために、何度も高額療養費の対象となっている人は、限度額が下がる制度があり、これを多数回該当と言います。
具体的には、過去1年間に3回以上高額療養費の対象となった人は、4回目から多数回該当の限度額まで支払いが減額されるのです。
なお、多数回該当の場合は総医療費に1%を掛ける処理はありませんので、医療費がたとえ1億円かかっても、限度額は変わりません。
70歳未満
70歳以上
高額療養費の対象となった回数は、保険者が変わった場合は引き継がれません。
国保と社保等の間で異動した場合も、1月目から数えなおしになります。
ただし、国保で同一都道府県内の転居の場合は、市町村が変わっても対象回数が引き継がれます。
年間外来合算
70歳以上で「一般」区分の人のみが対象となる制度です。
70歳以上で「一般」の外来の限度額が、年間で144,000円までになるというものです。月額は18,000円が限度額なので、単純に12倍すると216,000円になるはずが、72,000円減額されます。
実は、70歳以上で「一般」の外来の限度額は、平成29年7月までは12,000円でした。それを引き上げた際に、1年間継続して医療費がかかっている人については負担が大きくなるので、年間の負担を据え置くように144,000円を超えた分は、年間外来合算として支給することとなったのです。
高額介護合算
1年間に支払った医療保険と介護保険の支払額が一定の金額を超えた際に支給される制度を高額介護合算と言います。
医療保険の自己負担も、介護保険の自己負担も両方支払っている人は負担が大きいため、をれを救済するために制度が設けられています。
なお、ここでいう1年間とは、8月から翌年の7月です。
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